知的財産権を分かりやすく解説!|著作権・商標権について2022年3月11日 公開 2025年6月10日 更新

著作権や商標権などをまとめて「知的財産権」といいます。
著作権や商標権など耳にしたことはあるけど、具体的にどんなことを守らなければいけないのか知らない人は多いはず。しかし、これらはノベルティやオリジナルグッズを制作する際に欠かせない、とても重要な要素です。
この記事では、ノベルティやオリジナルグッズを作るうえで、知っておきたい知的財産権についてわかりやすく解説していきます。
知的財産権とは
知的財産権とは、人が考えて創り出したものをその人の財産として一定期間保護する制度です。著作権や商標権などの権利があり、音楽や発明、イラストなど人間の知的創造によって創り出されたものが対象になります。
苦労して考え、多くの努力が積み重なり、完成するまでに時間やコストもかかる創造物。知的財産権が無いと簡単に真似をして同じものを作ってしまう人や企業が現れます。
初めに創作した人や開発した企業が本来受けられるべき利益を保護するために、知的財産権があるのです。

ノベルティやオリジナルグッズで知っておきたい知的財産権の権利2つ
知的財産権は大きく「知的創造物についての権利」と「営業上の標識についての権利」の2つに分かれており、そのなかでさらに権利が細分化されます。
「知的創造物についての権利」はアイデア、デザイン、著作物など、「営業上の標識についての権利」は会社の商品やサービスに使用するマークを保護することなどが目的です。
ノベルティ制作にあたり、特に理解しておきたい権利は下記の2つ。
【知的創造物についての権利】
・著作権
【営業上の標識についての権利】
・商標権
著作権とは 侵害となる場合
著作権はイラストや写真などの著作物を作った人(著作者)の保護を目的とする法律です。
たとえば下記のようなことをしてしまうと、著作権侵害になる可能性があります。
・他の人が作成・撮影したイラストや写真を無断で使用する(トレースもNG)
・漫画やアニメのキャラクターに似せて描いた絵を使用する
自分で作成したオリジナルではないものは、必ず著作権があるものだと思って注意するようにしましょう。
商標権とは 侵害となる場合
商標権は、商標登録している会社名やブランド名、商品名やサービス名、ロゴマークなどを、登録の際に指定した特定の商品やサービスなどに使用する権利を、登録者に独占させるものです。
たとえば下記のようなことをしてしまうと、商標権侵害になる可能性があります。
・商標登録されている会社やブランドのロゴを無断で使用
・商標登録されている会社やブランドのロゴをパロディやオマージュをして使用
多くの会社名やブランド名が商標登録をしています。ノベルティを作成する際にはオリジナルのデザインをするようにしましょう。
(R) (C)マークの意味も理解しよう
ロゴやデザインの端についている(R)や (C)のマーク。見たことがあるという人が多いと思いますが、意味はご存知でしょうか。
(R)は商標登録のマーク、(C)は著作権のマークとして付けています。
(R)は商標登録をしているロゴなどの商標に付けることが可能。 (C)の著作権のマークは、イラストなどの著作物に、著作権があることを示すために付けられます。
(R)マーク、 (C)マークともに、付けることは義務ではないため、取っても問題はありません。しかし、ロゴやイラストをパッと見たときに商標登録や著作権をアピールできるので、特別な理由がない場合は付けたままのほうがよいでしょう。

こちらも注意!パブリシティ権について
パブリシティ権とは、著名人・有名人の肖像や氏名が持つ顧客誘引力から生じる利益・価値に着目し、これを保護する権利です。
人の肖像に関する権利として、肖像権と意味が混同しやすいパブリシティ権ですが、この2つは保護する範囲がそれぞれ異なります。
肖像権は「勝手に写真を撮られない、撮られた写真を世間に公表・利用されない」という、人格的利益に着目した権利。それに対しパブリシティ権は上述のとおり、財産的利益に着目した権利です。
芸能人の写真や歌手グループのロゴなどを無断で使うことはもちろん、有名人をモチーフに自身で描いたイラストを使ってノベルティを作成することも、パブリシティ権の侵害にあたる場合がありますので注意しましょう。
知的財産権侵害の典型例
ここでは、知的財産権侵害が生じやすい典型例をご紹介します。作成したデザインが下記に該当しないか確認してみましょう。

□商標権のあるロゴ(企業ロゴ)が使われているデザイン
□他人が創作したキャラクターを使用しているデザイン
□著作権のあるイラストや画像が使われているデザイン
□商標権のあるロゴやキャラクターのパロディやオマージュを含むデザイン
□有名人の写真を使用しているデザイン
上記の例以外にも、知的財産権を侵害し得るデザインは存在します。不安な場合は法務担当者や弁護士などの専門家に相談・確認するのがおすすめです。
知的財産権のよくあるQ&A
ノベルティ制作にあたり、気になる知的財産権の疑問についての事例をQ&A方式で紹介します。
きちんと理解し、トラブルが起きないように気を付けましょう。
【著作権】Q.自治体のキャラクターを使って記念品を作りたい

A.
キャラクターは使用料としてライセンス料を払い、使用許諾を得ることが必要です。無断で使用することはできません。
自治体のキャラクターを使いたい場合には、自治体に申請し、ライセンス料を払って使用するようにしましょう。
【著作権】Q.すでに存在しているキャラクターの色を変更して印刷できる?

A.
キャラクターの色は規定されているため、勝手に変えることはしてはいけません。
有名なキャラクターはフルカラーのパターン、モノクロのパターンなど細かくレギュレーション(マニュアル)が設定されています。
必ずレギュレーション(マニュアル)を守って使用するようにしましょう。
【著作権・パブリシティ権】Q.好きな芸能人の写真を使える?

A.
芸能人の写真を無断で使用するのはパブリシティ権の侵害になる場合があります。
また、写真は著作物にもなるため、著作権の侵害にもあたる可能性があります。芸能人の写真を使用したい場合には権利者(カメラマンや芸能人の事務所など)から許諾を取るようにしましょう。
【著作権・商標権】Q.有名ブランドや企業ロゴを真似して記念品に印刷したい

A.
有名ブランドや企業ロゴのパロディやオマージュは著作権の侵害や場合により商標権の侵害になる可能性があります。
許可なしでは作成することができません。
【著作権・商標権】Q.卒業記念品に校章を印刷したい

A.
校章が著作物にあたる場合、使用するために許可が必要です。
学校名に関しては著作物にあたりませんが、商標登録されているケースもあります。
校章や学校名を使用する際には学校側へ許可を取るようにしましょう。
【商標権】Q.企業のロゴマークをバッグに印刷したいけど大丈夫?

A.
無断で企業ロゴを使用するのは、著作権の侵害や、ロゴが商標登録されている場合には、商標権の侵害になる可能性があります。
使用したい場合には必ず、そのロゴの権利者に許可を取りましょう。
知的財産権に違反した場合どうなる?罰則の解説

知的財産権に違反した場合、罰則が科せられます。
・著作権侵害の場合
10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方
法人の場合は、3億円以下の罰金
・商標権侵害の場合
10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方
法人の場合は、3億円以下の罰金
安易な気持ちで著作権のあるキャラクターやロゴを使ったり、パロディにすると懲役や罰金の罰則が科されます。
どうしても使用したい場合には著作者の許可(写真の場合は撮影者の許可)をきちんと取るようにしましょう。
まとめ
ノベルティ・オリジナルグッズ制作に欠かせない権利である、知的財産権についてわかりやすく解説しました。
有名なロゴやキャラクターなど「好きだから」「かっこいいから」といった理由で安易に使用してしまうと、法律違反になってしまいます。
知的財産権を良く理解した上で、オリジナルのノベルティグッズを作成しましょう。
2022年3月11日 公開 2025年6月10日更新
