網点とは?~シルクスクリーン印刷でグラデーションを表現~2020年3月26日 公開  2024年1月23日 更新

 

目次

  • 網点とは
    1. 網点の密度を表す単位
  • 網点の効果
    1. 網点の密度を表す単位
  • シルク印刷の網点について
    1. シルク印刷の網点のデータ入稿について
    2. 布類へのシルク印刷の仕上がり
    3. 平滑面へのシルク印刷の仕上がり
  • 網点の印刷注意点
    1. 印刷の潰れ
    2. モアレについて
  • その他の網点ができる印刷方法
    1. 回転シルク印刷での網点
    2. パッド印刷での網点
  • まとめ
  • 網点とは

    網点とは、小さな点のパターンによってグラデーションを表現したものです。ハーフトーンとも呼ばれていて、色の濃淡(グラデーション)の表現に使われます。紙の印刷物で見たことがある方も多いのではないでしょうか?網点は黒1色でも濃淡を再現できるので表現の幅が広がります。

    網点の拡大

    網点の効果

    1色ベタのデータを網点(ドット)で表現すると、色が薄くなったように見えます。例えば白い紙に黒い細かい点をならべた時、ある程度離れて見ると、肉眼では点が小さすぎて識別できず、グレーに見えるのが網点の効果です。
    濃淡は、網点が白い背景のどのくらいの割合を占めているかによって決まります。黒い点の間隔の広さや、点の大きさのバランスによって濃淡の感じ方は異なります。

    網点の濃さの解説画像

    網点の密度を表す単位

    網点の密度を表すのに「スクリーン線数」という言葉を使います。スクリーン線数とは印刷の細かさを表しており、lpiという単位で表されます。スクリーン線数を高くするほど綺麗にグラデーションを表現することができます。

    スクリーン線数の画像

    シルク印刷の網点について

    シルク印刷の網点イメージ画像

    シルク印刷とは、細かい網目状の版をインクが通り抜けて印刷する方法です。インクを乗せるか・乗せないかのどちらかしかできず、インクを薄くしてグラデーションを表現することができません。※印刷方法について詳しくはこちら そのため通常は1色のベタ塗の表現ですが、どうしても濃淡を表現したいときは、網点を使います。網点の適切な濃度は、印刷方法や印刷する素材によって異なってきます。

    シルク印刷の網点のデータ入稿について

    シルク印刷の版を制作する機械にスクリーン線数(点の細かさ)を指定できる機能が備わっているので、Photoshop等で無理に網点加工をする必要はありません。

    illustratorでデータを作成する際は、CMYKのK(黒)が30%~70%くらいが適しています。 K70%以上だと黒く潰れてしまい、K20%以下だと薄すぎて表現できない場合があります。だいたいK30%ずつくらい差がある方が、目で見たときに違いが分かりやすいです。 実際にデータを作成する際は、次に紹介する素材ごとの印刷サンプル画像を参考に、黒の濃度を調節してみてください。

    布類へのシルク印刷の仕上がり

    バッグやポーチなどの布類に網点を印刷した時の仕上がりサンプルがこちら。 データよりは少し粗い印象に見えますが、肉眼できちんと濃淡を確認することができます。

    シルク印刷グラデーションのイメージ画像

    バッグ等の布系は生地の織目が粗いほどつぶれやすく、生地の網目が細かいほど綺麗に出ます。また、インクが滲みにくい生地の方が綺麗に仕上がります。

    シルク印刷の印刷サンプル画像

    平滑面へのシルク印刷の仕上がり

    ハードカバーの表紙、プラスチック、ステンレスタンブラー等、平滑な面(つるつるした面)に印刷した時の仕上がりサンプルがこちら。 おおよそデータに近いイメージで濃淡が表現されています。

    シルク印刷ノートのサンプル画像

    平滑面ほうが、布系に比べて生地等、本体の影響を受けにくいため、網点表現がはっきりと印刷されます。但し、平滑面の印刷であっても、素材によって網点の再現度や見え方は異なります。

    網点の印刷注意点

    印刷の潰れ

    網点の目が粗すぎると版を通り抜けて、印刷が潰れてベタ塗になってしまいます。逆に網点が細かすぎると、シルクスクリーンの版にインクが詰まって目詰まりを起こし印刷が出なくなってしまいます。印刷するものが布系のものかプラスチック系のものか等、素材の違いによって網点がつぶれたり、印刷する時の力具合によってムラが出たりする場合があります。

    モアレについて

    モアレとは、網点表現をしたときに意図せず規則性のある模様が浮かび上がることです。 違う幅の網点同士を重ねたときに、模様が見えて目がチカチカするように感じることもその一つ。 シルクスクリーンでは主に、版のメッシュと網点の数や角度、印刷する生地の網目等が影響し合って現れることがあります。また、広範囲に渡って網点をかけると起こりやすいので、大きな網点のデザインを入れるときは注意が必要です。

    モアレ、モワレのイメージ画像

    その他の網点ができる印刷方法

    回転シルク印刷での網点

    回転シルク印刷のイメージ画像

    回転シルクとはシルクスクリーン版を使い、ボトルやタンブラーなどの筒型アイテムを回転させながら印刷する方法です。 通常のシルク印刷の方法を応用しているので、シルク印刷と同じ条件で網点の印刷が可能です。

    パッド印刷での網点

    パッド印刷のイメージ画像

    パッド印刷とはインクをシリコンパッドに転写し、ノベルティにスタンプのように押しつけて印刷する方法です。 パッド印刷でもシルク印刷と同じ条件で網点印刷が可能です。但し、印刷範囲は3㎠程度のため、目立ちにくいという難点があります。

    ステンレス印刷のイメージ画像

    まとめ

    データはillustratorでK(黒)の濃度を調節し入稿してください。無理に網点加工をして入稿する必要はありません。 できる限り元データに近い表現になるようスタッフが調整しますが、印刷方法や素材によって若干のムラやモアレが起きる可能性があります。Photoshopのみお持ちの方もご対応可能ですので、スタッフまでお問い合わせください。
    網点を入れたデザインを印刷する際は、実物校正サンプル(7,000円税別~)をおすすめしております。仕上がりはデータや商品によってそれぞれ異なりますので、お気軽にスタッフまでご相談ください。
    網点を上手く取り入れたら、デザイン表現の幅が更に広がりそうですね!色々な方法を取り入れて、ぜひ印刷を楽しんでみてください。

    2020年3月26日 公開 2024年1月23日更新

    この記事を書いた人

    なべこ

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